~アルバム単位で聴く音楽~【Queen II】Queen (1974) 最もクイーンらしい、丸ごと聴くべきコンセプトアルバムの傑作

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【Queen II】Queen (1974) 最もクイーンらしい、丸ごと聴くべきコンセプトアルバムの傑作

今でも正しく評価されていないクイーンの魅力

皆さん、いかがお過ごしですか? 輪太郎です。

さて、今回はクイーンです。何故「 Queen II 」か?は後述します。
多分、彼らの’70年代のアルバムは当ブログでは全て紹介しなければならないことと思いますが、このセカンドアルバムについては、コンセプト性で言うと別格なのです。

さて、クイーンで一番、有名だと思う曲は?
私は、「We Will Rock You」だと思います。やたら、流れるから。
一番良い曲、ということではありません。

発売当時は、こんなに有名になるような騒がれ方はしていませんでした。
むしろ、当時より今の方がこの曲は重宝されていると思います。サッカーからかな。。
「ドンドン、パ」みたいな、下手したら2秒で掴める、というのが、スピード化した現代でも十分に重宝される普遍性だと思うんです。

しかし、もともとクイーンの底力は、前述の通り、アルバムという大きな一塊でこそ発揮されているのです。
「We Will Rock You」の収録された6枚目のアルバム「New Of tHe World」までのアルバムは、どれも単発で一曲聴くのが気持ち悪いほど、アルバム丸ごと一塊でひとつの音楽でした。

「ボヘミアン・ラプソディ」でさえ、「オペラ座の夜」のB面最後から2曲目として聴かなければ、魅力が半分以上失われている、と言っても過言ではありません。

ビールだってそうでしょ?
暑くて汗ダクダク、、、という環境があった方が、冷えたビールの旨さは際立つのです。

正直、彼らほどベストアルバムが必要ないバンドは無いと思います。
すべて良い曲、という意味ではありません。前述の通り、曲をそのアルバムから抜き出すべきではない、という意味です。

彼らが本当に史上1位である分野は、初期の頃の「アルバムアーティスト」という分野です。
その意味で言えば、ビートルズもツェッペリンも敵わないでしょう。つまり、初期クイーンはアルバム単位でしか聴けない、聴いちゃいけない、当ブログのコンセプトにピッタリのアーティストなのです。

それを知らずに、彼らのヒット曲をバラバラにプレイリストに入れているとしたら、何と勿体ない。
高級すし屋で、お茶しか飲んでいないのと一緒です。

アルバムとしての「Queen II」

ではその中で何故、「 Queen II 」なのか?
それは、「今後このような作品は2度と世に出ない可能性がある」からです。

もともとクイーンのメンバーはデビュー前からやりたい事があり過ぎて、デビューアルバムではやり足らず、2枚目にそれを詰め込もうとしておりました。
レコード会社からの意向も無視、予算も度外視です。
このあたりは、映画「ボヘミアン・ラプソディ」でも描写されていた通りです。

なぜ、そんな事が出来たか?

それは、レコード会社が彼らに大きな期待をしていたからです。
でも、セールスは制作費から見たら全く追いつかず。

つまり、
・大物として期待されていた
・でも売れなかった
という、2つの偶然がこのアルバムの条件に揃っていたわけです。

大物としての期待が無かったら、こんな贅沢は許されませんでしたし、また、売れなかったために流石の彼らもこの後、ある程度の売れ線に軌道修正してしまいます。

つまり、絶妙なタイミングでこのアルバムが制作されたのです。
素晴らしい作品ではありますが、セールスを考えたら制作すら検討されそうもない、とても贅沢なアルバムなんです。

そして、非常にエゴの強い、利己的なアルバムです。
恐らく、楽曲単位でのレベルで言うと「オペラ座の夜」には敵わないでしょう。
ただ、彼らが本当にやりたかったことが此処に凝縮されている、最もクイーンらしい、歴史的に見ても最もアルバム丸ごとで聴くべき作品だと思うのです。

※注 このアルバムは、A面丸ごとで1曲、B面丸ごとで1曲だと思って下さい。
ですので、可能であればプレス盤で聴いて下さい。DL版で聴くと、曲と曲の切れ目が若干のギャップを感じ、曲が壊されている感じになります。

それでは、実聴!

【A面】

そもそも彼等はA面、B面、とは呼ばず、「SIDE WHITE」「SIDE BLACK」と呼んでいます。
ここからもう、コンセプトの始まりね。。

白面は、最後のロジャーの作品を除き、ブライアン・メイの作曲によるものです。

白と黒、陽と陰、太陽と月、と言った対比は、「白人お坊ちゃん」と「有色人種の謎男」という、自虐とも思えるコントラストで、皮肉ではなく、見事です。

1. Procession

1980年の「ザ・ゲーム」まで、アルバムジャケットには「ノー・シンセサイザー」のクレジットがあります。
ブライアン・メイのギター・オーケストレーションの代表曲と言えます。

彼の自作ギター、ピックでなくコインで弾く、などという事がクローズアップされていますが、電子博士号を持つベースのジョン・ディーコンの制作するアンプも一役買っています。

録音が1970年代初頭である事を考えると、エンジニアも含め、とてもレベルの高い音作りであると言えます。

2. Father to Son

1曲目が短いインストでプロローグ的な役割なので、実質的な1曲目となります。

それがラブ・ソングや反骨的なロックではなく、親子についてのメッセージ・ソングである点が面白いと思います。
「タイ・ユア・マザー・ダウン」なんて歌うより、こちらの方がずっと良いですね。

ロックパートでは、「ブラック・ドッグ」調のビートが入ったりしますが、この頃はクイーンは正当な評価がされておらず、ツェッペリンフォロワーの最右翼などと言われておりました。

ファーストアルバムの楽曲群もそうですが、この頃はまだバンド自体ロック色が強く、バラードパートとの融合が初期の特徴とも言えます。

3. White Queen (As It Began)

サイドホワイト、と呼ばれる元ともなっているだろう、この面のメインとも言える曲。

1曲1曲でいうと、デビューアルバムの方がキャッチーな気がしますが、比較的地味なメロディーラインにもかかわらず、退屈せずに聞けるのは、やはりアレンジ力、構成力によるものが大きいと思います。
ちょっと2作目の新人とは思えないですね。すでに完成されている。

曲を聴かせよう、というより、連続した芝居を見せよう、としている感じがします。

さて、ここまで曲間にギャップがありません。
この曲の終わりに、やっとギャップが入ります。

4. Some Day One Day

ここまで重い感じが続きましたが、ちょっと圧を抜いてくれる曲。
アルバム唯一のブライアンのリードボーカルですね。

いつも思うのが、ロジャー・テイラーのドラムのチューニング。重くチューンされています。
彼が尊敬するドラマーは、レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムですが、初期はやはり意識しているようで、音は重めです。

でも、やっぱり彼が叩くと華麗に聞こえますね。育ちが良いから?
とにかく、地味ですが良い味が出ています。

良い曲なんですが、フレディの存在が全く感じられないのも寂しいかな、とも思います。
まぁもっとも、サイドブラックで、これでもかという程のフレディ・アタックを喰らうので、舞台袖で休むのも良しとしますか。次の曲もだけど。

5.Loser in the End

サイドホワイト最後の曲は、ロジャー・テイラーの曲。

私は生で彼らのライブを見ていますが、驚くのは、リズム隊2人とブライアン、計3人での音の厚さです。とても3ピースの音圧ではなかったです。

スタジオ盤がこれだけの多重録音なのに、ライブでもスカスカにならない。意外とライブバンドとしての力量が凄いんです。

特に初期はロック色が濃くて、ロジャーは1作目と2作目でロックンローラーのイメージが定着しました。

ブライアンの尊敬するギタリストはジミ・ヘンドリックスなんですが、どんなに頑張って弾いても、上品さが出てしまう。フレーズが堅実で正確なので、よりそう聞こえてしまいます。

【B面】

サイドブラックは、もう、フレディ節のテンコ盛り。
やりたい放題です。

もう彼の頭の中にその世界感があって、よくもまぁ具現化したな、という感じでしょうか。

ブライアンには申し訳ないですが、サイドブラックの圧勝です。
歌詞だけ見ると、あまりに乙女チックというか、フェアリーテイル色強すぎて、歌詞はサイドホワイトの方が好きなのですが、とにかく、エグいほどの自己陶酔というか。。

フレディ王国の完成度、凄いです。
それを理解して一緒に具現化するメンバーも凄いわけですね。

とにかく聴きましょう。

1. Ogre Battle

いきなりテープの逆回転から、鏡写しにリフに入る、驚きのイントロ展開。
タイトルを見なくても、人食い鬼の戦いワールドが見えてきますね。

この曲、ライブでも演っているんですよね。さすがにこの世界感を表現するのはキツいですが、ライブを度外視したサウンドメイクを貫く彼らにとっては、ライブは悩みどころだった事と思います。

しかしブライアンのギターの音色は唯一無二ですね。良い音出しています。
最後はドラの一撃。

2. The Fairy Feller’s Master-Stroke

こういう曲、クイーンにしか出来ませんね。
フレディが「7色の声の持ち主」と言われるの、この曲で良く解ります。

しっかしエンジニア、本当に非常に優秀ですね。

3. Nevermore

流れるような前曲からの美しいつなぎ。
これを、どうして別々に聴くことが出来ましょうか。

フレディは自分のピアノ技術に終生コンプレックスを持っていたそうですが、いや、なかなかどうして。

世にも美しい、マイナーな名曲ですね。

4. The March of the Black Queen

さて、本アルバムのハイライトですね。
この後続く、「ボヘミアン・ラプソディ」的なゴージャス路線は、ここから始まっております。

クイーンで最もフレディらしい曲は? と聞かれたら、私は迷わずこの曲を選びます。
それくらい、フレディ節満載。

よくクイーンを「ロック・オペラ」という人がいますが、「ロック・ミュージカル」と言った方が近くありませんでしょうか。

で、作曲法は限りなくクラシックに近いと思います。
また、彼に流れているインドの血も絶対に無縁ではありませんね。

ちょっと話はそれますが、クラシックより、ロックの方がずっと形式ばっているの、ご存じですか?
決まった音階とビートを使わないとロックにならないので、制約が多いんです。

それを解放したのがビートルズですが、フレディはクラシックの素養がある分、ビートルズとは違うアプローチで、自由な作曲が出来たんだと思います。
この曲は、そういう自由度がなければ生まれない類のものです。

また、ロジャーのコーラスも強めにフューチャーされていますが、フレディとの声の相性、非常に良いんですよね。
彼は子供の頃から聖歌隊で歌っていたという事で、言うまでも無くファルセットが美しい。

5. Funny How Love is

これも不思議な曲ですね。
クイーンらしいと言ったら、クイーンらしいですけど。
ただ、この手の曲は2枚目までで鳴りを潜めてしまうのが残念です。

たらふくビーフステーキを食べさせられたあとの、口直しのレモンてな感じで、5曲目に必要な曲ではあります。

6. Seven Seas of Rhye

デビュー・アルバムの最後に、イントロのフレーズのみで、インストで演奏された、言わば予告編のような感じで挿入された曲の、完全版。

シングルカットされ、そこそこヒットしました。
ライの7つの海、、、ライって誰?と、ずっと疑問だったんですが、フレディの創作だったんですね。
ハリー・ポッターとか、勇者ロトとか、そういうやつか。。。

この曲は、最後に独立して入れるしか無いと思いますが、ボーナストラック的な感じはしません。アルバムのトータル性を失うものでは無く、むしろシメとしてキャッチーなものがあって良かったと思います。

エンディングの、海の男たちみたいな歌声、3枚目の予告編みたいで、良いです。

聴き終えて、、、、

どうです、曲をバラしてプレイリストに入れるような曲、B面最後の曲以外には無いでしょう。コレはもともとシングルカットされているので、単独で聴けて当然です。

私のiTunes先生によると、私が最も多く再生しているアルバムは3枚目の「シアー・ハート・アタック」です。
それでもこの「 Queen II 」が、彼らの中で最もコンセプト・アルバムとしての完成度が高いため、初めに紹介することにした次第です。

いかがでした? 名盤でしょう。

それでは、また別の記事でお会いしましょう!


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