~アルバム単位で聴く音楽~【LOVE STRINGS】押尾コータロー (2001) インディーズ時代の名演、今こそ聴くべし!

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【LOVE STRINGS】押尾コータロー (2001) 

【LOVE STRINGS】押尾コータロー (2001) インディーズ時代の名演、今こそ聴くべし!

ギター1本で勝負!

皆さん、いかがお過ごしですか? 輪太郎です。

今回は「お塩、買うたろう」でお馴染みの(謎)、押尾コータローさんの作品をご紹介します。
当ブログの趣旨に沿うかどうか、実はチョット迷ったのですが、この作品については実に良くまとまっていて、特にギターインスト等に興味の無い方でも楽しんで頂けると確信しているので、ご紹介させて頂く事にしました。

このチョイスが、押尾コータローさんのファンの方から支持されるかどうかは謎です。
と言いますのも、このアルバムはメジャーデビュー前にインディーズから発表されている2枚のうちの1枚で、約半数がカヴァーで構成されているんです。

メジャーデビュー後には、もっと有名で売れたアルバムもありますが、押尾コータローさんを知らない人に1枚薦めるとしたなら、私ならこのアルバムを選びます。

彼のライブは数回行ったことがありますが、特に熱心なファンというわけではありません。
どちらかと言うと、同じギター1本でのパフォーマンスでしたら、オーストラリアのギタリスト、トミー・エマニュエルさんをよく聞いています。

じゃあその人を紹介したら? というツッコミ、ありがとうございます。
しかーし!
押尾コータローさんの良い所は「シングルを出していない」ところなんです。

これはつまり、自分の音楽を聴くなら「アルバムを聴いてくれ」ということです。

もちろん、ギターインストがシングルに全く以って向いていない、という特性もあります。
それでも、これだけアルバムを発表して売れ続けているのですから、ニーズはあるはずです。

彼の作品は全て聞いていますが、やはりアルバムを一つの作品として意識されているのを感じます。
その中でも私は、やはりインディーズ時代のこの作品を推したいと思います。
歌心満載の、実に心地よいアルバムです。

アルバムとしての「LOVE STRINGS」

さて、それではこのアルバムについて軽く触れておきます。

前述の通り、インディーズ時代に2枚のアルバムを発表していますが、そのうちの2枚目が、当アルバムです。
このアルバムを発表後、メジャーデビューとともに、モントルー・ジャズフェスティバルに出演するという快挙を成し遂げます。

全く聞いたことが無い人のために。
彼の特徴は、ギター1本でソロ演奏する、という点です。
しかし、まるで複数のギタリストが合奏しているように、メロディー、バッキング、パーカッションまで含め、左右二本の手だけで重厚な演奏を披露します。

ギターを弾く方だと分かると思うのですが、ギターで和音を出す場合、各指で弦を押さえなければなりません。当たり前ですね。

しかし、一人でたくさんの音を出そうとすると、抑える指は5本しかないため、なるべく多くの開放弦(押さえなくても良い弦)を有効活用しなければなりません。
そのため、オープンチューニングと呼ばれる、通常とは違った調弦をします。
当然、コードの押さえ方は全く変わってきます。

これは、たくさんの音を同時に出せるメリットがある半面、コード進行が複雑になったり、転調が多様される場面では、それが帳消しになってしまいます。

これが何を意味するか、と言うと、「楽曲の選択肢が減る」ということなんです。

ですので、意地の悪い言い方をすると、オリジナル曲の方が仕上げやすいのです。
しかし、楽器ありきで作られた音楽は、ギター好きであれば「すげー」という事になっても、やっていることの凄さが分からないリスナーにとってみたら、歌(歌詞)もないのですから、曲が良くなければ退屈なものになってしまいます。

このアルバムでは、そのあたりを見事にクリアしています。

選曲も一般リスナー向けですし、オリジナル曲も奏法に縛られることなく、メロディー重視の見事な楽曲ばかりです。

やはりメジャー作品ともなると、自分の意思だけで作品を創ることは難しくなりますが、インディーズ時代の2作品については、個人的な感想ですが「ギター1本でどこまでやれるか」という気概が感じられます。

とにかく、ギターが1本であろうが、多重録音であろうが、「音楽として成立している」ことが絶対に必要です。
そういった意味で、彼の作品の中では最もピュアで音楽的な、ギタリストとしてだけではなく、アーティストとしての押尾コータロ-さんを堪能できる1枚と言えます。

それでは、実聴!

LOVE STRINGS

1. Blue sky

作曲:押尾コータロー

TV番組のBGMなどでも多様され、なじみのある方が多いと思います。
メジャーデビュー後も、押尾コータローと言ったらコレ、的な時代が長く続いたのではないでしょうか。

ちなみにメジャーデビューアルバム「STARTING POINT」の7曲目にもver.違いで収録されています。

2. In the morning

作曲:押尾コータロー

私ごとですが、iTunes先生によると、私の再生回数ではダントツでした。
一時期は、たぶん毎朝聴いていました。
今でも、本当によく聴いています。

作曲家・押尾コータローの才能とセンスを感じる、とても美しい曲です。

3. リボンの騎士

作曲:冨田 勲

手塚治虫さんのアニメ「リボンの騎士」のテーマ曲です。
1967年放送とのことですが、押尾さんは1968年生まれなので、どこかで聴いて好きになられたのでしょうか。

このアルバムはカヴァーのセンスが良いですね。

4. ライムライト

作曲: チャールズ・チャップリン

正確には「エターナリー」という曲名で、映画「ライムライト」のテーマ曲としてアカデミー作曲賞も受賞している名曲です。

私は子供の頃に観たっきりですが、エンディングがとても悲しかったので、この曲を聴くとちょっとセンチメンタルになります。

5. ピアノレッスン

作曲:マイケル・ナイマン

こちらもシネマ・ミュージックです。
1993年公開のフランス映画「ピアノ・レッスン」のテーマ曲です。

この手の曲はガットギター(ナイロン弦)での演奏が多いですが、押尾さんのようにスチール弦での演奏も実に味わい深いですね。
実は、クラシック的アプローチを彼が手掛けることの大きな意味として、スチール弦演奏、というものが挙げられます。

6. LOVE STRINGS

作曲:押尾コータロー

押尾さんのギタリストとしての才能、また作曲家としての才能、双方を一度に説明したければ、この曲を持ち出してくるのが便利です。

曲構成、音使い、どれを取ってもメジャーデビュー前の新人とは思えぬ完成度です。
パーカッシヴなアレンジやハーモニクス、プレイのタイム感。完璧です。

7. 宵待月

作曲:押尾コータロー

初期の名曲と言えるのではないでしょうか。
この曲については、レギュラーチューニングで再現できるレベルのアレンジなんですが、逆に、演奏技術にだけこだわっているわけではなく、不必要であればその音は入れない、という、セルフプロデュースレベルの高さを見せてくれる作品です。

8. ニューシネマパラダイス

作曲:エンニオ・モリコーネ

出ました、さらにシネマ・ミュージック。
こちらは1988年公開のイタリア映画「ニュー・シネマ・パラダイス」のテーマです。
あらゆるジャンルのアーティストがカヴァーする名作です。

そうだった、イタリア映画だったんでした。
しかし、こうして通して聴いていると、国境を感じさせませんね。
押尾さんのアレンジ能力もさることながら、良い曲は良い、という事でしょうか。

9. 遙かなる大地

作曲:押尾コータロー

JAZZやインストルメンタルの曲名について、「何故この曲名にしたんだろう?」と思う事って、ありませんか?
イメージとどうしても一致しない、みたいなこと、私は多く感じてしまいます。

そう考えると、押尾さんの曲はイメージとピッタリ一致することが多く、実は詩的なセンス溢れる方なのではないか、と、勝手に想像しています。

10. HARD RAIN

作曲:押尾コータロー

初期の代表曲と言えるでしょう。
押尾コータローさんの名を一気に広めた曲です。

ライヴでもおなじみの曲ですが、タイム感というか、グルーヴ感が心地よい演奏を聞かせてくれます。

ただ残念なのは、この後、マイク(PU)特性を多用した曲が多くなっていく傾向がある気がします。
キャッチーかつ、パーカッシヴで一人バンド状態の演奏をするためには避けられない事ですが、なるべく生で勝負できる曲の路線に行って欲しかった、と、個人的に思ってしまいます。

ちなみに メジャーデビューアルバム「STARTING POINT」 の最後にも別ver.が収録されています。

11. リベルタンゴ

作曲:アストル・ピアソラ

出ました!
このアルバムのハイライトは「HARD RAIN」かも知れませんが、私的にはココがハイライト。
彼のカヴァーセンスが一番、光っている気がします。

日本、フランス、イタリア、ときて、アルゼンチンか~。
この曲も、フラメンコギターのガットではなく「スチール弦」で聴くと、違った格好良さがありますよね。

12. いつか王子様が

作曲:フランク・チャーチル

日本、フランス、イタリア、アルゼンチン、ときて、アメリカか~。
で、アニメも入れると、映像作品主題歌は5曲も収録されているんですね。

こちらは言わずと知れた、ディズニー映画「白雪姫」の挿入歌。1937年の作品。
数え切れないアーティストにカヴァーされている名曲です。

特にJAZZと相性が良いですが、押尾さんはスチールギターのテンション感を実に良く出しています。
目立ちませんが、名演と言えます。

13. ずっと・・・

作曲:押尾コータロー

アルバムの最後に相応しい、心地よさを残してくれる佳曲です。
私は、派手な1人バンドプレイより、むしろ押尾さんでなくても良いような、こういったシンプルな作品の方が好きです。

やはり、ギター・プレイヤーと言うだけでなく、一人のアーティストとして魅力ある方だと思います。

聴き終えて、、、、

ほぼ60分。
あっという間に聴けました。

どうなんでしょうかね、、、ギターを弾く人は、驚きと共に楽しめるアーティストだと思うんですが、ギターテク云々関係なく、とても良い音楽ではないかと思うのですが、いかがでしょう。

私はこのアルバムを知人に紹介して、押尾信者を一人製造した実績があります(笑)。

押尾さんはもともと陽気な人で、ライブのMCは実にオモシロイです。
ライヴ・アーティストとしても超オススメできますので、このアルバムが良いな~、と思った方は是非、ライヴに足を運んでみて下さい。
ポジティブオーラ満載です。

それでは、また別の記事でお会いしましょう!


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