
【ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー】イエロー・マジック・オーケストラ (1979) 泣く子も黙る、日本が誇るテクノポップの最高峰
1980年の正月は、漫才とYMOばかりの日本列島だった
皆さん、いかがお過ごしですか? 輪太郎です。
さて、このブログを始めて1か月が経ちますが、いやなかなか、、、。
1記事作るのに、非常に労力がかかっております(泣)。
というのも、内容は対して濃くないのですが(反省)、ついつい紹介アルバムを聴き入ってしまい、当時の思い出などがメリーゴーランドのごとくグルグル回り、結局何が書きたいのかまとまらないまま、気付いたら記事をアップしている有様。
今回ご紹介するY.M.O.の代表作「SOLID STATE SURVIVOR」についても、当時中学生だった私は思春期真っただ中で、作品に対する思い入れというよりは、このアルバムを聴くとその時代の強烈なイメージがフラッシュバックして、何とも言えぬ感情が襲ってくるのです。
バリバリのロック少年だった私でさえ、ツェッペリンの新作の為に貯めた貯金を使ってまで買ってしまうという、魔力を持った作品でした。
1970年代終盤と言えば、世界的にはパンクロック・ムーヴメントが筆頭に上げられますが、日本ではむしろその後のY.M.O.影響下のテクノブームの方が、強烈な爪痕を残したように思います。
本当、テレビを付ければ漫才番組ばかり、街角ではインベーダーゲームの音と、流れる音楽と言ったらY.M.O.ばかり、という年でした。
アルバムとしての「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」
さてそんなY.M.O.の代表作とも言える本作は、2作目となるオリジナルアルバムです。
実は、このような電子的な音楽は彼らがパイオニアという訳でもなく、ましてや彼らの専売特許という訳では全くありません。
では何がそんなに騒がれたのか?
日本人から見たら、聞いたことも無い音だったこともありますし、メロディーがとにかくキャッチーであった事が挙げられます。
世界的には、言葉の壁が取り払われた音楽であった事と、日本的な音と、テクノロジーを駆使した実験的な音であった事が大きいでしょう。
とにかく彼らは一躍時の人となりましたが、ご存知の通り、メンバー3人とも、十分過ぎるキャリアの持ち主でした。
日本国内で言えば、レノン・マッカートニーにボブ・ディランが加わったユニットのようなものです。
売れないハズが無い。
当時、矢沢永吉さんが「あんなもの音楽じゃないよ。10年20年経った後に残ってると思いますか?」と発言されておりましたが、残念ながら、彼の予想はハズレでした。
未だにY.M.O.フォロワーは次々に現れておりますし、我々の記憶から抜け落ちることは決して無い、流行とは無縁の完成された音楽であった事は、もう既に証明されているのです。
それでは、実聴!
【A面】

Y.M.O.と言ったらまず「テクノポリス」か「ライディーン」という人がほとんどではないでしょうか。
この、彼らの大ヒットシングル2曲ともが、このA面に収録されております。
当時はまだアナログの時代ですが、アナログ盤から流れてきたそのサウンドは、当時中学生だった私には強烈な衝撃でした。
2018年のリマスター版は、音が痩せることなく、当時の衝撃が忠実に再現されております。
1. TECHNOPOLIS
作曲:坂本龍一
冒頭の「トキオ」でもう、頭をブン殴られた感じですね。
コンピューター・ミュージックという印象が強いですが、「ほとんどのパートは手弾き」というのが凄いところです。
ホンマモンの技術集団なんですね。
2. ABSOLUTE EGO DANCE
作曲:細野晴臣
一度聴いたら、まるで洗濯機のように頭の中をグルグルしてしまう、強烈なインパクトを持ったダンスチューン。
当時は情報が少なく、私はY.M.O.のコンセプトのもとは教授だったと思っていたのですが、実は細野さんのアイデアだったのだと知った時、物凄く腹落ちしたのを覚えています。
沖縄風の例の掛け声は、シーナ&ザ・ロケッツのシーナさんによるものです。
3. RYDEEN
作曲:高橋ユキヒロ
もう間違いなく、Y.M.O.の中で最も有名な曲でしょう。
曲のキャッチーさは勿論、馬が駆け抜けるような効果音やゲームサウンド効果音など、最新のテクノロジーを駆使した、遊び心溢れる実験が随所に見られ、当時は相当タマげましたが、今聞いても新鮮で面白い。
ロックバンドがカバーしても交響楽団が取り上げても成立する、ソリッドな魅力のある素材であり、音楽であると言えます。
4. CASTALIA
作曲:坂本龍一
不思議な魅力のある曲。
やはりクラシック畑の人が作る音は、チョット違うテイストがありますね。
ポップチューンが3曲続いた後でのこの立ち位置。
A面最後を見事に締めてくれます。
【B面】

代表曲2曲がA面に収録されてしまっているからと言って、侮ってはいけません。
B面の重厚さは、A面に引けを取っておりません。
特徴としては、B面は歌詞入り、ヴォーカルは全てユキヒロさん担当です。
既に音楽業界で確固たる地位を築いていた面々、、、というのがミソで、だからこそ自由に実験的な音楽を創る権利を行使できたのだと言えます。
とにかく、音楽としてはむしろB面の方が興味深いものがあります。
1. BEHIND THE MASK
作詞:クリス・モスデル 作曲:坂本龍一・高橋ユキヒロ
あのキング・オブ・ポップ、マイケル・ジャクソンがカヴァーした事でも知られる名曲。
海外でのウケがハンパない、との事です。
いろいろなところでサンプリングされておりますが、この手の音楽にしては強烈なリフであるからでしょう。
B面の冒頭を飾るには最適な曲です。
2. DAY TRIPPER
作詞・作曲:レノン=マッカートニー
完全にナメまくったアレンジに拍手です。
しかし作品としては非常によく出来ており、隙がありません。
ギターはA面に登場したシーナさんの旦那、鮎川誠さんです。
3. INSOMNIA
作詞:クリス・モスデル 作曲:細野晴臣
細野さんがこのユニットを公案した時、何がやりたかったのか、という答えが、この曲のような気がします。
白魔術でも黒魔術でもない、日本人のみが扱える「イエロー・マジック」がここにあります。
私事ですが、このアルバムで私が好きな曲、1位2位が両方とも細野さんの作品であることは、偶然ではないのでしょう。
4. SOLID STATE SURVIVOR
作詞:クリス・モスデル 作曲:高橋ユキヒロ
アルバムのタイトルチューン。見事な締め。
高橋ユキヒロさんのヴォーカルは、独特な味があります。
聴き終えて、、、、
約32分。
たった32分で、世界に巨大な爪痕を残した作品です。
前述の矢沢永吉さんしかり、当時は何かと色眼鏡で見られた作品ですが、彼らの作品は完全に「音楽として成立」しており、たまたま表現方法が電子系であったに過ぎない、という事だと思います。
もちろん、私より少し上の世代の人々は、ハッピー・エンドやティンパンアレー、サディスティック・ミカ・バンドで彼らを知っており、凄腕ミュージシャンだという事は周知の事実だと思いますので、特に驚かなかった事と思います。
彼らのオリジナル・アルバムは実は、その実績から見ると驚くほど少ないのですが、どれか1枚、という事であれば、とりあえずコレを聞いておけば間違いありません。
ところで、sabu kijimaさんというユーチューバーさんが、あのピコ太郎さんの「P.P.A.P.」と「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」をコラボさせた動画をアップされておりますが、これが傑作なんです。
ピコ太郎「PPAP」×YMO「Solid State Survivor」
興味ある方は、是非観て下さい。笑います。
それでは、また別の記事でお会いしましょう!


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