~アルバム単位で聴く音楽~【Abbey Road】The Beatles (1969) 世界で一番有名なジャケット

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【Abbey Road】The Beatles (1969) 世界で一番有名なジャケット

【Abbey Road】The Beatles (1969) 世界で一番有名なジャケット

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やはり最初の記事を飾るのはコレでしょう!

皆さん、いかがお過ごしですか? 輪太郎です。

当ブログのコンセプトから言って、やはり一番最初に紹介すべきアルバムに認定です!
え? サージェントペッパーじゃないの? って?

勿論、サージェントペッパーは宇宙にも送られた、20世紀を代表するアルバムとして認知されていますが、、、。
実は当のポール・マッカートニーも認めている通り、「コンセプトとしては有ったけど、関連しているのは1曲目とRepleaseだけだよね」という事で、実はさほどのコンセプトと一貫性が作品中にあるわけでは無いのです。

サージェント・ペッパーは、その発売当時の衝撃度が凄く、録音技術やアイデアも含め、後に世界に与えた影響で言えば絶大ではありますが、いちアーティストの作品の完成度としては、アビーロードを上回るものでは無いような気がして、、、これは私の個人的意見ですが、、。

そんなわけで、初回を飾るのは「アビーロード」で決定です!

アルバムとしての「アビーロード」

言わずと知れた、ビートルズが録音した最後の作品です。
もう皆が精神的に煮詰まって、解散はどうしても避けられない状態の中、どのようにしたらこのような最後を飾る集中力が発揮できるのか、彼らの脳ミソを開いてみたいものです。

メジャーデビューから解散まで、わずか7年しか活動しなかったビートルズ。
そのデビュー作とこの最後のアルバムを聴き比べると、その進化の恐ろしさがよく解ります。

ジョン・レノンをバックコーラス扱いできるのはポール・マッカートニーしか居ませんし、ポール・マッカートニーを脇役に回せるのはジョン・レノンしか居ません。
稀有な天才二人が奇跡的に同時在籍しているグループと言えます。

そしてこのアルバムの何より凄いのは、その天才二人が在籍するグループの最後のアルバムであるにもかかわらず、ベスト・トラックとも呼べる作品がジョージ・ハリスンのものである、というところ。
A面2曲目「サムシング」は、ビートルズのシングルの中で1番売れた曲です。

ちなみに、解散後のジョージのファーストアルバム「オールシングス・マストパス」は、ビートルズのどのアルバムよりも売れています。
私がこの世で一番好きな曲「My Sweet Lord」が収録されています。

Anthorogyや海賊版を聴くと、その後「オールシングス~」に入れられた有名な数曲が、実はビートルズ時代にデモで持ち込まれていたのが分かりますが、残念ながらレノン&マッカートニーの作品群を押しのけて採用される事はありませんでした。

アビーロードでは、ジョージはまさに有終の美を飾った、という事でしょう。
このアルバムが「ジョージ・ハリスンはビートルズに欠かせなかった説」を決定付けている、と言えるかも知れません。

ちなみに、ビートルズのメンバーはいつも自分たちの作品の仕上がりを「モノラル」で聴いていたそうです。当時の世界最先端である、素晴らしいMIXなのに勿体ない。。。
このアルバムは、初めて8トラックで録音されており、またモノラル盤が制作されなかった初のアルバムでもあります。

ああ、キリがないし、もう書ききれません、、、。

あ、それと初めて聞く人は、ダウンロード版でなく、プレス「盤」で聴いて欲しいです。
何故なら、ダウンロード盤だと、連続再生の際、曲と曲のつなぎ目がコンマ数秒、狂ってきて、彼らの正式な録音のタイム感とズレてしまうからです。
曲間も含めて作品、というものは、なるべくプレス盤で聴いて欲しいと思います。

それでは、実聴!

【A面】

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A面はキャッチーな楽曲が並び、メンバー4人それぞれの個性が実によく配置されています。

先ほど、ジョージ・ハリスンがビートルズに欠かせない、という話をしましたが、リンゴ・スターについても勿論それが言えます。
リンゴの残した録音の中でもベスト・トラックといえる2曲が、このA面の最初の2曲、と言えます。

1. Come Together

というわけで、出だしはジョージ以外、全員、主役。
・ポールの画期的なベースライン
・リンゴの見事でリッチなドラムプレイ
このバンドのリズム隊は、とにかく「歌心を忘れない」のが良いところです。

そして、ジョン・レノンの「シュッッ」。
これは、実は「Shoot me」と言っているのだそうで、1980年12月8日の事を考えると、シャレになりません。

この曲は、ジョンご本人が「チャック・ベリーのユー・キャント・キャッチ・ミーのパクりだ」と宣言しています。

何も隠さず語ってしまうところが彼らの魅力ですが、結局チャック・ベリーの著作権所有者側から裁判沙汰にされており、和解の条件ということもあり、後1975年発表のカヴァーアルバム「Rock’n Roll」に、本家本元「ユー・キャント・キャッチ・ミー」が収録されています。

しかし彼らはどんなカヴァーを出しても、まるで彼らがオリジナルであるかのごとく消化してしまうのには驚きます。
元ネタ曲を知っていた私でも、この曲は完全なオリジナルと言っていいと思います。

2. Something

米エンターテイメント界のゴッドファーザー、フランク・シナトラが「史上最高のラブソング」と絶賛した、言わずと知れた名曲。

当時のジョージの妻パティは、自分のために作られた曲だと主張していますが、ジョージ本人は「レイ・チャールズを想って書いた」とおっしゃっております。
まぁ、彼らの話はあまり真面目に聞けませんが。。。

そしてキング、エルビス・プレスリーのステージでも定番曲として歌われておりました。
プレスリーが居なければ、ビートルズもなかった。自分の作品が、かつての雲の上のスターにカヴァーされ、一体ジョージはどんな気持ちだったでしょう。

さらにさらに、R&B界の大ボス、JBことジェームス・ブラウンもこの曲をカヴァーしております。
ビートルズがカヴァー曲を自分のモノにしてしまうのと同じレベルで、JBのヴァージョンはもうほとんど別の曲、自分の曲になっております。

しかし、ものすごい数のカヴァーバージョンがある中、当のジョージはこの「JBバージョン」が最高にお気に入りだったのだとか。

その反面、ポール・マッカートニーのベースプレイの中でもベストと称されるこの曲。
当のジョージは、このポールのプレイが全くお気に召さないのだとか。

本人の気持ちとは裏腹に、ポールのプレイはもう一つのメロディを見事に奏でており、この楽曲のアルバム内地位を決定付けるのに貢献しております。

それと、よく誤解されがちなので付け加えておきますが、間奏のリードプレイはジョージご本人のものです。
あまりに滑らかで上質なので、エリック・クラプトンが弾いてる説が根強いですが、本人のプレイであることが立証されています。

3. Maxwell’s Silver Hammer

このアルバムの中で一番、仕上げるのに苦労した楽曲なんだそうで。

ポールを除くメンバー全員がそうおっしゃっています。
逆に言うと、ホワイト・アルバムのように、一人で仕上げることも可能であったにも関わらず、「苦労」してでも皆で仕上げた、という事が証明され、何とも朗らかな気持ちになります。

特にジョージのギターは非常に完成度が高く、貢献度も高いです。

曲調は朗らかですが、歌詞が怖い。
「ペニー・レイン」は美しい曲調に卑猥な歌詞。ビートルズはよくこういう事をしたがりますね。

また、ビートルズ初、シンセサイザー(モーグ)が使われております。
シンセサイザーを始めて使ったのはビートルズではないと思いますが、アビーロード・スタジオ(当時はEMIスタジオ)には、世界の最先端機器が送られてきていました。
それはそうですよね、世界一有名なアーティストが使用することが、最も効果的な宣伝方法なのですから。

この曲ですでに、彼らはモーグのお手本的な使用法を提示しています。

4. Oh! Darling

ジョンが生前、「あの曲は俺が歌うべきだった。ポールもそこそこだが、俺ならもっと上手く歌えた」とおっしゃっておりました。
それ程、ジョンの好みの曲だったのでしょう。

ゲットバックセッションを収録した、有名な海賊版「Songs From The Past」に、ジョンが歌っているバージョンがあります。
その後発表された公式アウトテイク集「Anthorogy3」でも一部を聴く事ができますが、ジョンが本気を出して歌っているわけではないので、残念ながらジョンが勝ち、というのは証明されておりません。

私は、ポール・マッカートニーの歌唱の中でもトップ・レベルにカッコ良いと思っています。

そして、地味なプレイですがジョージの貢献度もかなり高いという事を付け加えさせて下さい。
このアルバムから、ジョージのギターワークは格段にレベルが上がっています。

5. Octopus’s Garden

アルバム唯一の、リンゴ・スターの作品。
この曲を聴くと、「リンゴのドラムは本当に良いなァ」と思います。

私が一番好きなドラマーはジョン・ボーナムで、リンゴとは対極をなすタイプと思われがちですが、共通したところがあって、「1音1音に魂がある」のです。とにかく、どこにも無駄が無い。

リンゴは「ドラムソロなんて興味が無い。だって、退屈だろ」とおっしゃっています。
とにかく、歌心あるドラマーなのです。

そういえば、ポールがインタビューで、好きなドラマーは「1位リンゴ、2位ジョン・ボーナム、3位キース・ムーン」と言っておりました。

あ、楽曲の話(笑)。
この曲がこのアルバムに与える影響って、結構大きい気がしています、近頃。
昔はどうしても他の楽曲群に押されていると思っていたのですが、いやいやどうして、この曲にしかない魅力もそうなんですが、A面の最後から2番目、という一つの役割としては最高であるような気がしているんです。

この曲を飛ばして聞いてみたのですが、やはり「アビーロード」として成立しない。
ジョージが曲作りを助けたそうですが、この曲はそれも含めて、リンゴ4分の1ではない存在感がある気がしているのです、近頃。

6. I Want You

「アビーロード」を私が初めて聞いたのは、幼稚園の時でした。
その頃、この曲だけは唯一、良さが分かりませんでした。分かるわけないか。。

逆に今、私はこのアルバムの中で、一番のお気に入りです。

「ベートーヴェンをぶっ飛ばせ」なんて和訳の曲がありますが、ベートーヴェンやモーツァルトはどんな素晴らしい作品を残しても、その声や自分の演奏を残すことは出来ませんでした。

もしビートルズがそのような大作曲家よりもアドヴァンテージがあるとしたら、それは「自分の演奏と声を残せたこと」だと思っています。

ジョン・レノンのヴォーカルの中では、私は「Happiness Is A Warm Gun」の次にこの曲の歌唱が好きです。

また、ポール・マッカートニーのバッキング・コーラスは、ビートルズの中でこの曲が一番好きです。

さらに、ポールのベースプレイは、ビートルズの中でこの曲が一番好きです。
最高にヒップです。

そんなわけで、幼い頃は分からなかった大人の魅力が満載なのです、この曲。

ジョージがパティに作った(らしい)サムシングに比べ、ジョンがヨーコに作った本作品の、何と屈折していること。

また、アナログレコードは、機械の関係で、針が最後の溝をなぞり切る前にターンテーブルから針が離れてしまうことがありました。
つまり、再生途中でブチ、と切れてしまうことがありました。

この曲のエンディングも、カセットテープに録音する際、針が途中で上がってしまい、突然切れてしまったものと、ずーっと思っていたのですが、デジタル化によって、ビートルズ側が意図的に、ブチ、と曲を中断させたことを知って、ちょっと感慨深かったです。

何かの企画CDで、この冗長なエンディングを最後まで残さず、フェイドアウトさせてプレスされたものがありましたが、アーティスト側の意向を無視した、恐るべき悪行ですね。

【B面】

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B面は、有名なのが後半のメドレーで、とても素晴らしい出来なのですが、残念ながらこれはポール・マッカートニーとプロデューサーのジョージ・マーティン主導の仕事です。
ジョンも、アビーロードが気に入らない理由はB面だ、とおっしゃっておりました。

しかし、世評としてはこのB面こそが名盤たらしめている、となっています。
メンバーの中でも、ポール(当たり前か)とリンゴは、このメドレーを大変気に入っているそうです。

最後と悟ったメンバーがいつになく(当時としては)協力的に貢献していて、聴きどころは満載。これぞトータルアルバムのお手本、といったシーン満載です。

1. Here Comes The Sun

これです!
アルバム単位で聴く醍醐味。

長く、鬱屈した、ドロドロしたA面最後を終え、盤をひっくり返し、針を落とすと、、。

なんと爽やかな第二幕のオープニングよ!
これ以上の「B面の1曲目」はありませんね。

私は「サムシング」よりむしろ、この曲の方がジョージの力量を表していると思っています。
エリック・クラプトンの庭で書いたとのことですが、太陽がやってくる様を見事に音に表しています。

そしてポールの名演。

よく「ポールの名演はジョージの曲に多い」と言われます。
その理由を、歌わずに弾けるからだ、などとトンチンカンな事を言う人がいます。多重録音ではそんなこと関係ありませんし、ポールはどんな複雑なプレイでも歌いながら弾いております。

では何故そうなのかというと、、、。
「究極の承認欲求男」だからなのです!(当社調査)

他人がスポットライトに当たっている間でも、どうしてもライトを自分に向けたがるのです!
(信じるか信じないかは、あなた次第)

それにしても、すばらしいタイム感です。(ベースの話)
この時代、いわゆるドンカマ無しの録音で、プレイヤー達のグルーヴがそのまま記録できる、というのが今の音楽よりも良い点かも知れません。

しかしビートルズはスタジオ録音であっても多重録音であっても、グルーヴをそのまま出せるのが凄いところ。

ちなみに、ジョージのソロ6作目「George Harisson」に、アンサーソングである「Here Comes The Moon」が収録されています。
地味で素朴ですが、ジョージらしい、穏やかな隠れた名曲です。

2. Because

A面3曲目でも話題に出しましたが、モーグを特徴的に導入した曲。
しかしまぁ、、、。見事な調和。

Charさんが昔、「ビートルズなんてただのボーカルグループだろ、なんて馬鹿にしていた」とおっしゃっておりましたが、逆に言えば、ボーカルグループとして一流であることの証明になるのが、この曲です。

コーラスは綺麗なだけでは一流とは呼べません。
彼らのヴォイシングは独特で、そうきたか、というノートを随所にちりばめてきます。

ちなみに、ビートルズはリンゴを除く3人のハーモニーが多いですが、一番難しいパートを担当しているのがジョージです。

一番カンタンなのがポールのパートで、高い声さえ出れば、音取りに迷うことはありませんが、ジョージのパートは非常に面倒なものが多いです。
実はジョージは、ヴォーカリストとしても優秀なんです。

アレンジャーとしてのジョージのセンスも見逃せません。
代表的なものに「ハード・デイズ・ナイト」のイントロとか、ジョージのコードセンスがビートルズの楽曲の完成度を上げるのにどれだけ貢献しているかは、筆舌に尽くしがたいです。

ちなみにシルク・ド・ソレイユの舞台「LOVE」のサントラ盤「LOVE」の1曲目は、ジャイルス・マーティンの技術が光るリマスタリング、アカペラの同曲で飾られております。

3. You Never Give Me Your Money

実質的に、「アビーロードB面メドレー」と呼ばれる、最初の曲となります。

印象的なイントロのフレーズが、後半の山場「Carry That Wait」の間奏部分で、ブラスで登場します。
クラシックではよく使われる手法ですが、ロック・アルバムでこのように使われるあたりが、コンセプトアルバムらしい印象を強くしています。

それにしても、綺麗なメロディに俗っぽいお金の話、オマケにエンディングは「良い子はみんな天国へ行く」とは、何ともビートルズらしい歌詞です。

4. Sun King

太陽王と言えば、ルイ14世。
エンディングでなんちゃってフランス語が出てきますが、下品な俗語もジョンのアイディアで入っています。何だかなァ。。

前曲とのつなぎで、ノイズのあとに虫の声のような音が入っています。

その昔、アナログ機器に端子が付いていなかった頃、ステレオから流れる音をテープレコーダーで直接録音しなければならず、チリ紙交換や電話の音が聞こえると、最初から録音しなおさなければならないという、今では信じられないような録音手段しか無い時代がありました。

私も自宅のソリッドステイトステレオからテープレコーダーで録音していたのですが、子供の頃は長いこと、この音は外部から入った虫の音だと思っていました。
ネットも無いし、同級生にロック聞く子供なんて居なかったし、情報が無く、疑問も確かめようのない、何とも凄い時代。。。

ところがこの音、電子機器のノイズだという事でした。
ビートルズの連中が遊び心で入れた虫の声、の方がドラマ性高いんですけどね。

Love is old, love is new
Love is all, love is you

何とも言えない韻。。。
私はB面の中で、この曲が一番、好きです。
最近まで気が付かなかったのですが、ウィングスの「Londontown」のベースライン、よく聞くとこの「Sun King」と同じパターンですね。

5. Mean Mr. Mustard

ジョンのやる気ない歌声も良いですが、ポールのレズリーを通したベースも印象的。

前述しましたが、この時代はドンカマが無い時代なので、演奏の自由度は高いですが、このような変拍子が入った時の彼らのグルーヴのセンスは光ります。

ジョン・レノンは「みんな、ビートルズの一番良いライブは見ていない。ハンブルグが最高だった」と言っています。つまり、デビュー前が最高だったと。
当時、一日中ステージに立っていたと言い、ウケることなら何でもする、相当過酷な日々だったらしいです。

ビートルズは演奏が下手だ、という人が居ますが、十代の少年時代に外国でドサ周りをして世界の頂点に立ったライブ・バンドです。技術には現れないグルーヴが彼らにはあるのです。

このような、ロックンロールでも何でもない小曲の変拍子のあたりに、そのあたりの痕跡が明らかに感じられます。

当初、この曲のあとに「Her Majesty」が入る予定だったのですが、最終的にカットされました。
このあたりの事情は後述します。

6. Polythene Pam

リバプール訛りで歌うジョンのヴォーカルが印象的な曲。
ジョン・レノンはこの曲を「つまらない捨て曲」とバッサリですが、このメドレーを構成する上ではベストではないかと思える作品。

ビートルズは発表した楽曲すべてが廃盤になっておらず、デビュー後50年以上経つアーティストとしては異例なことですが、もっと凄いのは、ジョンが捨て曲と呼ぶこのような小曲でさえ、他のトップ・アーティストがカヴァーしているところです。

有名どころでは、エレクトリック・ライト・オーケストラのロイ・ウッドがカヴァーしています。

ポールのベースが思いっきりミストーン出していますが、そのままレコード(正に記録)してしまうところが、それまでのアーティストと違うところ。

7. She Came In Through The Bathroom Window

この曲で、B面メドレーの前半は一区切りとなります。

ビートルズは、もともとの曲のアイディアを、後日別の形で発表したりする事があります。
「One After 909」などはデビュー前から演奏していた曲ですが、最後に発売されたアルバム「Let It Be」では、テンポも全く違うものに変貌していますし、「Happiness Is A Warm Gun」などは別々の3曲を一つにして作品化されました。

この曲「シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドウ」も、当初はスローでブルージな曲だったようです。

その痕跡を、公式アウトテイク集「Anthorogy 3」で確認する事が出来ます。

ビートルズが最終テイクとして選ぶものは大体、間違う事がないようで、デモ時とは別次元の完成度に落ち着く事が多いのですが、私はこの曲に限っては、メドレーの構成曲としてではなく、スローバージョンで単体でアレンジしたものが聞きたかったという思いがあります。

8. Golden Slumbers

さて、メドレーもいよいよ大詰めです。

1980年代後半、ポールが大規模な世界ツアーを企画し、リハーサルのセッションの際、何気なくこの曲を弾き語ったところ、スタッフの一人が突然涙したそうです。
それを見たポールが、そんなに感動的なのであれば、と、ツアーに取り入れ、今ではこの曲から「The End」までのメドレーは、ポールのライブでの定番となっています。

それにしても、ビートルズの曲名をバンド名にしたり、映画のタイトルにしたり、小説のタイトルに使ったり、、、という例は山ほどありますね。この曲もそうですが。
ビートルズの使う言葉がキャッチーなのか、ビートルズが持つ影響力を利用しているのか、どちらかは定かでないですが。。

9. Carry That Weight

前述しましたが、この曲の間奏部から、B面3曲目のメインテーマがブラスで引用されています。

ロックバンドのアルバムとしては非常に良く計算されたメドレーで、このあたりはジョージ・マーティンの貢献度も高いのではないかと思います。

その重荷を負え、、、彼らの当時の状況を考えると、とても意味深に思えますね。

10. The End

そして、実質的にはビートルズ最後の曲。

よく言われるのは、3人のギターバトル。
ドラムソロ嫌いのドラマーによるシンプルなドラムソロの後、2小節ずつのソロバトルが始まります。

順番は、ポール、ジョージ、ジョン、です。

もともとはポールもギタリストで、ベーシストだったスチュワート・サトクリフの抜けた穴を埋めるためにベーシストになった経緯があります。

で、ポールのソロは常にメロディック。
ジョージは前述の通り、このアルバムからは別人のような、滑らかなフレージング。
ジョンは、誰にも似ていない、ジョンらしいアタック。

私が審査員なら、今回はジョンに一票です。
理由:オンリーワンだから。

アンサンブルや超個性の融合で出来ていたビートルズが、最後はハンブルグ時代に戻ったかのような、3人ギタリストの対決で締めくくり。
伝説のバンドの最後にふさわしい、ドラマティックな歌詞でメドレーは終わります。

11. Her Majesty

ジ・エンドで終わったかと思いきや、、、。

十数秒の静寂の後、突然「ジャーン」の音に続いて、ポールの弾き語りが始まります。

ポール・マッカートニーは「2フィンガー」という独特な奏法でアコースティックギターを弾きます。
この曲もそうだとしたら、実に芸達者。独学ならではの良い味です。

本来は「ミーン・ミスター・マスタード」の後にこの曲が入り、この曲の後に「ポリシーン・パン」が続く予定でしたが、最終段階でこの曲はカット。
ボツになるところを、エンジニアがマスターテープの最後にくっつけておいたものが、そのままプレスされたもの。

つまり、メンバーから見捨てられた捨て曲だったわけですね。

いやぁ、捨てられなくて良かった。
この小曲、まるで最後のアンコールであるかのように、ちょこっとのスペースですが存在感ある地位を得ていると思います。

ですので、曲頭の「ジャーン」は「ミーン・ミスター・マスタード」のお尻の音で、最後が突然尻切れになっているのは、「ポリシーン・パン」のイントロと被っているものをカットするために行われた処理だったわけです。

このあたりは、2019年に発売された「Abbey Road Super Delux Edition」の中の「サ・ロング・ワン」に、無修正で収録されていますので、確認することが出来ます。

聴き終えて、、、、

ビートルズはその音楽だけでなく、ライフスタイルや思想、文化に至るまで、世に多大な影響を与えています。
それゆえ、ファンの思い込みときたら、他のアーティストとは別次元の愛着を示すケースが非常に多いです。

ですので、ベストアルバムを挙げよ、となると、ほぼ意見は割れることでしょう。
私は多分、「ホワイトアルバム」を一番聞いていますし、一番衝撃を受けたのは「リボルバー」ですが、選べ、と言われると、うーーーーん。。。

でも、ビートルズファンでも何でもない人にただ一枚、薦めるとしたなら、間違いなく「Abbey Road」を選ぶでしょう。それだけは不動です。

いずれにしろ、これだけ多くの人に、これだけ永く愛されているのですから、ビートルズの音楽が良い音楽であることは間違いないです。

初期のアルバムも含め、ビートルズには捨て曲がありません。
全作品ともアルバム単位で楽しめる、稀有なアーティストです。
まだ「アルバムを通して」聞いたことのない人には、是非アルバム単位でビートルズを聴く事をお薦めします。

それでは、また別の記事でお会いしましょう!


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